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再入国許可と外国人

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  1. 再入国許可と外国人
    1. Q:オーバーステイの女性と結婚し、現在、行政書士に依頼し、在特の請願手続を行っておりますが、妻の父親が、危篤となりました。もし、妻が一時帰国した場合、日本に再入国することはできるでしょうか?そして、その場合、在特手続のほうはどうなりますか?
    2. Q:永住許可されれば、もう入国管理局へ行く必要は無くなるでしょうか?
    3. Q:彼はオーバーステイで摘発され、裁判となり、執行猶予付きで、オーバーステイの罪で、1年以上の懲役の判決を受け、強制退去で、帰国しました。彼の国へ行って、一緒にしばらく暮らす予定でいます。そして、現地で結婚して、ビザがおりたら、日本に夫婦で帰国しようと考えています。そこで、日本に再入国する許可が下りるのは厳しいと聞いたのですが、どうでしょうか。また、ペナルティの5年間が経過する前に申請することはできますか。なお、再入国できた場合、滞在許可がなされるまで、夫は、仕事をすることはできないのでしょうか。
    4. Q:ウクライナ人女性を今度日本に呼ぶのですが、相手は日本人男性と離婚歴があり、その結婚ビザの期限がまだ残っています。しかし、日本の出国前に再入国の手続きはしていないと思われます。この点、以前、友人から、離婚してもビザはすぐに失効するものではないと聞きました。そこで、この場合、この「結婚ビザ」で日本に入国することはできるのでしょうか。

再入国許可と外国人

再入国許可と外国人

「再入国許可」という言葉は、いわゆる「再入国許可申請」の場合と、単に「また日本へ戻ってくる」という意味合いで使われる場合の二通りあり、そのどちらの文脈で言われているのかに注意が必要です。なお、内容等は、あくまで「設例」です。

Q:オーバーステイの女性と結婚し、現在、行政書士に依頼し、在特の請願手続を行っておりますが、妻の父親が、危篤となりました。もし、妻が一時帰国した場合、日本に再入国することはできるでしょうか?そして、その場合、在特手続のほうはどうなりますか?

A:一般に、「再入国」という場合、「再入国」は専門用語であって、在留資格が存在する場合にのみ適用があります。本件では、在留特別手続の審査中とのことですので、在留資格がありません。したがって、いわゆる「再入国許可」制度の適用はありません。以上から、いわゆる再入国許可「申請」の場面ではありません。
次に、在特の請願手続中に、一時帰国した場合に、戻ってこれるかという意味での「再入国」について検討致します。在特請願中に出国するような場合、結果的には、行ってきた在特の手続がほとんど反故になります。つまり、単なる不法滞在者が自主帰国したに過ぎないことになり、出国命令制度等の適用の有無等により、上陸拒否期間が設定され、しばらく日本に来れません。また、上陸拒否期間が過ぎたとしても、以前のように簡単には来れなくなります。
以上からすると、在留特別手続のポイントは、審査中にこのように帰国するような問題が生じる可能性をできるだけ減らすよう、可及的に迅速に在特許可を得なければならない点にもあるわけです。

Q:永住許可されれば、もう入国管理局へ行く必要は無くなるでしょうか?

A:仮に永住許可されても、「再入国許可申請」による許可は必要です。したがって、入国管理局へ行く必要はなくなりません。

Q:彼はオーバーステイで摘発され、裁判となり、執行猶予付きで、オーバーステイの罪で、1年以上の懲役の判決を受け、強制退去で、帰国しました。彼の国へ行って、一緒にしばらく暮らす予定でいます。そして、現地で結婚して、ビザがおりたら、日本に夫婦で帰国しようと考えています。そこで、日本に再入国する許可が下りるのは厳しいと聞いたのですが、どうでしょうか。また、ペナルティの5年間が経過する前に申請することはできますか。なお、再入国できた場合、滞在許可がなされるまで、夫は、仕事をすることはできないのでしょうか。

A:これもとても多い設例です。まず、このケースは、執行猶予付きであってもなくとも、1年以上の懲役の判決を受けているので、永久的に上陸を拒否される事案に該当します。そのため「ペナルティ」は「5年」ではなく、永久です。
次に、「上陸拒否期間」は「申請拒否期間」ではありませんから、基本的には、「申請」するのは任意に行うことが可能です。「申請」と「許可」は違います。さらに、仮に「再度入国」できたような場合、就労できるかどうかは、その人の上陸許可時の在留資格によります。短期滞在ならば、直ちには就労できません。留学や就学も資格外活動許可を得なければ就労できません。しかし、「日本人の配偶者等」の在留資格ならば、就労できます。また、「滞在許可」なる言葉は日本の入国管理局にはなく、上陸許可と切り離された意味での「滞在許可」なる概念は想定されていません。
もっとも、おそらく、このように設例の文言どおりに、回答しても、趣旨に応えたことにならないでしょう。行政書士等、回答に従事する側は、単なる文言に拘泥せず、真意を把握し、回答しなければなりません。
そこで、執行猶予付きであってもなくとも、1年以上の懲役の判決を受けている場合、刑法27条に「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」と記載されていることに着目できるでしょう。この法理との関係で、一般的には執行猶予期間が経過するまでは、申請しても不許可を惹起することが多いでしょう。もっとも、実子が生まれた場合には別論の場合があります。但し、近時の傾向では実子がいても、執行猶予事案では、厳しい措置が目立ちますから、子どもの存在に安易に期待することはできなくなっています。なお、仮に執行猶予期間を経過しても、婚姻後1年は必要(な場合が多い)でしょう。

Q:ウクライナ人女性を今度日本に呼ぶのですが、相手は日本人男性と離婚歴があり、その結婚ビザの期限がまだ残っています。しかし、日本の出国前に再入国の手続きはしていないと思われます。この点、以前、友人から、離婚してもビザはすぐに失効するものではないと聞きました。そこで、この場合、この「結婚ビザ」で日本に入国することはできるのでしょうか。

A:まず、「結婚ビザ」というものは、本来は、スラング的表現で、正確には「日本人の配偶者等」の「在留資格」といいます(略して「日配」といいます。)。日配にせよ、その他の在留資格にせよ、「再入国許可申請」による「再入国許可」を予め、旅券等に得ておかないまま、出国すると、現に有する在留資格は消滅します。この発想も初学者の方には理解され難いようですが、イメージとして、およそ在留資格というものは「再入国許可」も得ておかないと、十全な権能を発揮しないという理解でよいと思います。
本件では、相手方の日配の在留資格は、出国により消滅しています(離婚によって消滅したのではありません。)。したがって、当該「結婚ビザ」にて入国はできません。ちなみに、関連するテーマに、離婚後、離婚前に得ていた再入国許可で再入国できるかというテーマもありますが、一般には公定力の法理の射程内と思われ、しかも係争事案で相手方の日本人側が「入国させるな。」という趣旨で、離婚を入国管理局に報告していたにも関わらず、入国した例はあります。
最後に、離婚歴があるとのことですから、前婚が偽装婚ではなかったか、資格外活動等で退去強制歴があって上陸拒否対象者ではないか、以前に日本へ来ていたときに入国管理局へ出していた資料に虚偽はないか、等の今後の不許可を招来する事由を事前に予測する作業が必要です。

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ東京は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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テレビ朝日では、偽装認知の問題をコメント致しました。偽装結婚も偽装認知も件数は大変に多く、この結果、入管の審査では、正常な夫婦のご結婚の案件が、TV_ASAHI1偽装案件の山の中に埋もれてしまっているのが実情です。偽装結婚で逮捕されて処罰された人から直接、話を伺う機会があり、どのように偽装しているのかお聞きしました。写真を何枚か見せられ、そこには日本人男性の実家にて、日本人男性の両親と、結婚相手の外国人女性とが、仲良く写真に収まっていました。「よくやる方法なんですけど。」とその方は言われました。つまり、このように巧妙な手口で偽装されており、審査官からしても、TV_ASAHI2簡単には見分けはつきません。ところが、入管法上、許可に必要な立証責任は申請する側にあり、入国審査官側には存在しないのです。この結果、この構造を理解せず、気軽な気持ちで形だけ書類を用意し、申請して多数の申請が不許可になっています。
また毎日放送では、フィリピンから日本への介護での就労についてコメント致しました。就労については、典型的な就労資格である「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」以外に、「技能実習」、「特定活動」、「留学」での「資格外活動」等と多岐に渡りますが、当事務所代表行政書士は、これらを横断する問題や、これらと国際結婚、配偶者、家族滞在、永住、帰化等が複合的に絡む問題を多面的に考察することができます。

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