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強制送還と外国人

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強制送還、退去強制、強制退去、などと言われますが、ここでは、基本的に、退去強制の意味で強制送還という語を用います。知られざる強制送還の実態にQ&Aで回答致します。なお、内容等は、あくまで「設例」です。

Q:韓国人の恋人が、以前、オーバーステイをして、強制送還されています。現在、日本へ留学を希望しているとのことです。しかし、オーバーステイの経歴があると留学ビザはおりないというのは本当でしょうか。また、韓国人が日本へ観光という目的で発給される観光ビザは15日しかないので、心配です。

A:まず、退去強制(強制送還)された時期により場合分けをします。最近、退去強制(強制送還)をされたのであれば、リピーターでなければ、5年間上陸拒否されます(但し、出国命令制度の適用があれば1年です。)。したがって、その期間内であれば、「留学ビザはおりない」というのは、特段の事情が存しない限り、当たっています。
次に、上陸拒否期間経過後についてですが、法律上の上陸拒否は無くなるものの、入国管理局の留学・就学審査部門で許可されないことはあり得ます。しかし、上陸拒否期間という法定の制約は外れているので、請願は必要な場合は多いと思いますが、流動的かつ弾力的に扱われるでしょう。
他方、「観光ビザ」という用語ですが、厳密には、日本の場合には、「観光ビザ」という専門用語はありません。他国の制度に日本語に翻訳した場合に「観光ビザ」となる制度があるために、ごちゃごちゃになり、混同されているのです。現在のところ、世界各国に共通な入国管理制度というものはありません。各国によって異なるのです。そして、日本の場合、俗語的にいう「観光ビザ」も「訪問ビザ」も「短期滞在」という用語に当たるのです。この点、「短期滞在」の場合に観光を上陸目的としたときに、常に必ず絶対に「15日」以内というような決まりはありません。したがって、設例はその限度で当たりません。それにそもそも、強制送還されたときの上陸拒否期間内は、短期も、原則、許可されません。

Q:現在、弊社は、多数のフィリピンの日系人を雇用しております。在留資格の更新は会社で行っております。ところが、ビザが切れている従業員がいることが発覚しました。このような場合、入国管理局ではどのように扱われるのでしょうか。従業員は強制送還等の行政処分を受けるのでしょうか。さらに会社はどのように扱われるのでしょうか。

A:この種の質問も頻繁に受けます。1日たりともオーバーすれば、退去強制手続き(強制送還手続き)に載せるという運用は実行されるのでご注意下さい。つい最近でも、日本人の配偶者等の案件で確認しています。
さて、まず、根本的に「在留資格の期限」というような、当該外国人の合法滞在・不法滞在を決し、人生を変えてしまうような重大な事項を失念するというような、管理体制からまず改善する必要があります。そうでないとまた繰り返す虞が存します。
このような場合の入国管理局の扱いは、入国管理局の裁量が最も広く適用される場面の一つです。結論から言えば、どうするかは、入国管理局のさじ加減次第です。この場面の入国管理局側の選択肢として、大きく分けて四つ程度あるでしょう。さらに以下のいずれでも、もし、帰国した場合、将来の上陸許可を認容するかは、入国管理局の広い裁量に任されます。
第一に、特別受理し、在留の継続を認容する選択肢。
第二に、退去強制手続(強制送還手続)に載せ、在留特別許可をする選択肢。
第三に、退去強制手続(強制送還手続)に載せ、在留特別許可を不許可とする選択肢。
第四に、出国命令制度の射程内である場合に、出国命令を行政指導する選択肢。

他方、会社側については、不法就労を組織的かつ常習としていたような特段の事情があれば、経営者も逮捕されるようなこともあり得ますし、実際、ニュースでラーメン屋さんや、すし屋さんが逮捕されているところです。また、日系人とのことですが、もし偽装日系人がいた場合、この機会に露見し、処分、処罰される場合があります。

Q:彼は、母が日本人、父が南米の日系人ですが、オーバーステイして、そのうえ、今回、万引きまで犯してしまい、警察に逮捕されています。強制送還を免れるにはどうすればよいでしょうか。

A:不法滞在罪のうえに、窃盗罪では、罪責は重大です。日系人といえども、外国人に他なりません。私はかつて、道交法違反の若い日系人が在留資格を失い、退去強制(強制送還)されたケースに立会ったこともあります。日本で南米の感覚でハメを外すと退去強制になります。
結論として、その状況ですと、留置場にて彼とよく話しあい、結婚するのかどうか決めることになるでしょう。但し、同居の実績等が無いときは、二人の前途は困難でしょう。「強制送還を免れる」ための絶対100%確実な方法は、存在しません。日本人側はこのように逮捕されるに至る前に、結婚して、法律専門家に人権救済手続の相談のうえ、入国管理局での手続を依頼する等を検討し、予防しなければなりません。

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ東京は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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弊所代表行政書士古川峰光の著書

『入国管理局とビザ』(株式会社朝日ネット)[Amazon]

 

入国管理局とビザ入管実務については、広義では二つの分野があります。一つは、国際結婚手続等の渉外身分法に関わる分野、もう一つは外国人雇用の法務という就労の分野です。企業や市民から多数の相談を受けてきた著者が、在留資格と入国管理の世界で新たな視点を提示する。入国管理局の特質、申請の技術、退去強制と外国人雇用の関係、申請と許可の要件、不許可への対応方法……。入管に関わる企業と個人とが留意すべき事項を解説。(amazonの書籍説明より)

 

 

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国際結婚手続とオーバーステイ憲法の精神(憲法13条)や手続保障(31条)の見地から、国際結婚夫婦に人道的配慮ないし人権救済が必要であるのはいうまでもない。しかし、日本人と結婚しても顧慮されずに不許可処分ないし強制送還等される事例が極め日本人と結婚しても顧慮されずに不許可処分ないし強制送還等される事例が極めて多いことは知られていない。この本の内容は、現場的な視点での解説、意外に見落とす盲点等をピックアップし、国際結婚手続全般と、その応用としての「オーバーステイ」を研究し、解説する。(amazonの書籍説明より)

弊所代表行政書士古川峰光のTV取材

○テレビ
テレビ取材も、2002年の創業以来、余りに多くの取材を受けたため、全てをご紹介することができませんので、一例だけご案内致します。

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テレビ朝日では、偽装認知の問題をコメント致しました。偽装結婚も偽装認知も件数は大変に多く、この結果、入管の審査では、正常な夫婦のご結婚の案件が、TV_ASAHI1偽装案件の山の中に埋もれてしまっているのが実情です。偽装結婚で逮捕されて処罰された人から直接、話を伺う機会があり、どのように偽装しているのかお聞きしました。写真を何枚か見せられ、そこには日本人男性の実家にて、日本人男性の両親と、結婚相手の外国人女性とが、仲良く写真に収まっていました。「よくやる方法なんですけど。」とその方は言われました。つまり、このように巧妙な手口で偽装されており、審査官からしても、TV_ASAHI2簡単には見分けはつきません。ところが、入管法上、許可に必要な立証責任は申請する側にあり、入国審査官側には存在しないのです。この結果、この構造を理解せず、気軽な気持ちで形だけ書類を用意し、申請して多数の申請が不許可になっています。
また毎日放送では、フィリピンから日本への介護での就労についてコメント致しました。就労については、典型的な就労資格である「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」以外に、「技能実習」、「特定活動」、「留学」での「資格外活動」等と多岐に渡りますが、当事務所代表行政書士は、これらを横断する問題や、これらと国際結婚、配偶者、家族滞在、永住、帰化等が複合的に絡む問題を多面的に考察することができます。

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