配偶者ビザ

在留資格とビザ(査証)の違い

‡はじめに‡
このサイトでは一般に分かりやすいように、原則として、「ビザ」と「在留資格」を分けないで説明しています。しかし、ここでは、より正確に理解したい方のために、両者の厳密な区別を説明しておきます。また、分かりやすいようにここでは敢えて「査証」という語を用い、ビザという語を控えます。

初級ビザ講座2「在留資格とビザ(査証)の違いは何か。」

‡在留資格とは‡
在留資格は、一言で申し上げれば、日本で適法に活動するための法律上の資格、ともいえるでしょう。逆にいえば在留資格のない場合、日本で適法に活動することはできないことになります。ちなみに在留資格の無い状態では、外国人登録証明書にも「在留資格なし」とはっきりと記載されます。

査証とは

査証は、一言で申し上げれば、在留資格の推薦状ともいえるでしょう。外務省が法務省に宛てた推薦状のため、推薦が功を奏さないこともあります。同じようなことですが、「在留資格認定証明書」(法務省)が査証(外務省)に結びつかないこともあります。法務省の入管と外務省はそれぞれ独自の基準で審査し、これは相互に補完する作用があると考えられます。たとえば、入管で1年間にわたり申請し続けて、ようやくパキスタン人との婚姻用のCOEを交付したとします。ところが、これを在パキスタン日本国大使館へ持ってゆくと、そう簡単には査証を発給することにはなりません。在パキスタン日本国大使館はそれなりにパキスタンを知っているため、言いたいことや審査したいことがあるわけです。その結果、パキスタン等、厳しい国籍の場合、査証発給に2週間から1か月、最大で3か月かかる話もあります。

在留資格と査証

まず、外国人が日本に上陸するには原則として、旅券にビザ(査証)が必要です。但し、いわゆる査証の相互免除国については査証は要りません。ただ、査証免除というのは長期の滞在を認容するものではないことに注意が必要です。長期間滞在する目的のときは、しかるべき在留資格を取得せねばなりません。
この「査証」の申請は在外公館で行います。入国管理局ではありません。在外公館とは、日本の大使館や領事館のことをいいます。これは外務省の所掌であり、組織的に法務省に属する入管とは、行政組織法上の位置づけが異なります。
在外公館にて査証の発給を受けるといわば日本への入国が「推薦」されたことになります。但し、これはただの「推薦」です。つまり、「保障(証)書」ではありません。また、許可書でもありません。したがって、査証を受けても、入国審査官によって、上陸が不許可になることはありえます。要するに、上陸するまでは上陸は保障されていません。
そして、上陸許可のときに、「在留資格」を得ることになります。この在留資格は外国人の活動内容や身分に応じて規定されています。たとえば、留学でしたら、「留学」の在留資格が与えられます。日本人配偶者でしたら「日本人の配偶者等」の在留資格が与えられます。
注意すべきは、一般に、この「査証」と「在留資格」が混同されて、ひとくくりにされ、「ビザ」という呼称で呼ばれていることです。元々、「ビザ」は法令用語ではなく、「俗語」です。英語のvisaをカタカナ読みにしただけのものです。このことに注意しながら入管法を押さえておく必要があります。また、アメリカの英語に言うVisaと日本の法律用語の査証がイコールなわけではないです。アメリカの移民法の洋書を読むと明らかに違う意味で用いられています。
「ビザ」という俗称が広まったのは、おそらく、在外公館にて「査証」を得れば、通常は、上陸許可もなされることから、いつの間にか「査証=ビザ」が在留資格ないしは在留許可の代名詞のようになったのでしょう。
査証には「日本国査証 JAPAN VISA」と記載されています。これには”CATEGORY”欄に、就業カテゴリーならば、旧方式の場合、「(就)」と記載されます。これは「就業査証」の意味です。興行の査証でも人文国際の査証でも「(就)」です。しかし、だからといって全ての仕事ができることにはならない、というのは上述のとおりです。他方、新方式の場合、アルファベットの記号でカテゴリーが表示されます。
査証は偽造防止対策のために近年、様式が変更されていますから、旧様式の査証も新様式の査証も両方、判読できるようにする必要があります。
他方、在留資格のほうは、今ではバーコード付きのシールになっています。これも近年、様式が変更されたものです。これには在留資格が興行なら”Status”として「興行」 “Entertainer”と記載されています。また、在留期間や在留期限、許可番号、許可年月日等が記載されています。
そして、たとえば、その在留資格の更新が最後の更新と判断されたときは”FINAL EXTENSION”というハンコが当該シールの上に捺印されることになるのです。

Q:査証を入国管理局で申請することはありますか。

A:ありません。入国管理局はあくまで「在留資格」を扱います。

Q:よく短期滞在(観光等)は外務省、とお聞きするのですが、日本に入国した後、期間を延長するときも外務省に行くのですか。

A:その場合は、入国管理局に行きます。「短期滞在の査証」は外務省ですが、「短期滞在の在留資格」は法務省入国管理局(の地方局)です。但し、短期滞在の在留資格の更新は原則認められません。相応の理由が必要です。

Q:査証はどんな場合にも絶対に必要ですか。

A:絶対に常に必ず必要というものではないのですが、無いと空港で通常の手続では上陸(在留資格の付与)ができなくなります。また、国によっては、査証がないと、そもそも日本の空港まで来れません。

Q:在留資格を得るには資格試験のようなものはありますか。

A:試験というよりも審査があります。筆記試験のようなものはありません。但し、在留資格の種類によっては、いわゆる「資格試験」も関係はあります(例、技術の在留資格の場合のIT関係の資格試験は在留資格を得るうえで、審査基準となります。)。

Q:転職した場合、前の会社の在留資格は失いますか。

A:日本の場合、今のところ、直ちには失われません。外国ではおよそ無断で転職するのが違法な国もあります。但し、転職先がその在留資格で就労可能かどうかは別問題であり、不法就労にならないよう、就労の可否の確認が必要です。

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

‡記事執筆‡イミグレーション戦略コンサルティングファーム行政書士あさひ東京 代表 古川 峰光

自身が国際結婚し、2万人以上の相談、20年以上の実績を有するイミグレーションコンサルタント兼行政書士。イミグレーション戦略の基盤となる渉外戸籍のマネジメント、在留資格のプログラム、来日後のライフステージに応じたサポート、永住権や国籍までの羅針盤になるようなコンサルテーションを実施。さらには、国際家族を形作ることに関わるアドバイザリー業務をコラボレーション。行政書士あさひ東京は総合的なインバウンド・イミグレーションの真のコンサルティングサービスとしてご提案致します。

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テレビ朝日では、偽装認知の問題をコメント致しました。偽装結婚も偽装認知も件数は大変に多く、この結果、入管の審査では、正常な夫婦のご結婚の案件が、TV_ASAHI1偽装案件の山の中に埋もれてしまっているのが実情です。偽装結婚で逮捕されて処罰された人から直接、話を伺う機会があり、どのように偽装しているのかお聞きしました。写真を何枚か見せられ、そこには日本人男性の実家にて、日本人男性の両親と、結婚相手の外国人女性とが、仲良く写真に収まっていました。「よくやる方法なんですけど。」とその方は言われました。つまり、このように巧妙な手口で偽装されており、審査官からしても、TV_ASAHI2簡単には見分けはつきません。ところが、入管法上、許可に必要な立証責任は申請する側にあり、入国審査官側には存在しないのです。この結果、この構造を理解せず、気軽な気持ちで形だけ書類を用意し、申請して多数の申請が不許可になっています。
また毎日放送では、フィリピンから日本への介護での就労についてコメント致しました。就労については、典型的な就労資格である「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」以外に、「技能実習」、「特定活動」、「留学」での「資格外活動」等と多岐に渡りますが、当事務所代表行政書士は、これらを横断する問題や、これらと国際結婚、配偶者、家族滞在、永住、帰化等が複合的に絡む問題を多面的に考察することができます。

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