
ここでは入国管理局を中心としたガイダンスや入国管理局の歴史をまとめています。ブログ的説明の箇所は、あさひ東京総合法務事務所代表の古川峰光が執筆させて頂いたものです。
日本の入管行政の行政庁は「入国管理局」と言います。「移民局」や「入国管理事務所」、「出入国管理事務所」等とは言いません。法務省入国管理局が全国的な統一を担当し、各地方入国管理局が分担して業務を行います。
入国管理局は、法務省の局の一つですが、「入国管理庁」と称してもよいほど大きな組織です。入国管理局には二つの顔があると言えます。一つは通常の申請窓口で見る入国管理局。もう一つは、警察に準じた公安職としての警備部門の面です。警備のほうは警察と合同で摘発を行う等の有形力を行使する組織です。税務行政の場合の「マルサ」と、同じ行政の有形力行使として法的には似ている側面もあります。
よく外務省の在外公館が発行する査証と混同されますが、外務省の在外公館は「査証」の発給を行うだけであり、かつ「査証」は上陸審査での推薦状の意味しかなく、入国管理局が上陸許可を決めます。入国管理局は外務省ないし外務省在外公館が発行した査証があっても、上陸や在留を拒否することができます。また入国管理局が入国審査で上陸許可した後は、「査証」は「使用済」となり、上陸許可証印だけが意味をもつことになります。
東京入国管理局は港区の品川埠頭にあります。京浜運河のすぐそばであり、JR品川駅からですとかなり距離がありますので、品川から東京入国管理局へ行くときは、歩く方はあまりいません。たいていの方は品川駅発着のバスを利用します。東京入国管理局へのバスは、本数も多く、あまり待つことはありませんが、朝のラッシュ時間帯や在留期間の更新のシーズン時期はかなり混みあいます。時間は15分程度です。なお、タクシーですと、10分かからないのが普通で、800円前後です。
品川駅以外の東京入国管理局へのルートは、「東京モノレール」や「りんかい線」もありますが、いずれも「天王洲アイル駅」からかなり歩きます。ですので、多くは品川駅ルートで行きます。
東京入国管理局近辺、つまり港区港南近辺は、現在、高層マンションの建設ラッシュですが、入管の事務所庁舎のある港南5丁目付近は、必ずしもそうではなく、まだ基本的には倉庫街です。したがって、あまりお店等は無く、食事を取るお店については、通常3か所しかありません。
1.庁舎1階にあるコンビニに付いている旧レストランのテーブル
:昔は、ラーメンやカレーを提供していましたが、おそらく外国人の方々の食事の好みが余りに多様なために、売上が小さかったと思われ、レストランは閉店となりました。現在は、当時の名残で、テーブルとイスだけ置いてあり、隣接するコンビニでお弁当等を買って、そこで食事が可能です。お昼どきは混むことが多いです。
2.職員用食堂
:基本的に職員以外、利用禁止です。品川での東京入国管理局の開局当初は、誰でも利用できたのですが、しばらくして、原則禁止になってます。庁舎の上層部にあり、展望や夜景が綺麗なので、お昼以外はすいている以上、解放してよさそうなのに残念です。
3.庁舎の裏手にあるレストラン
:ここは近辺の会社や東京入国管理局に頻繁に行く人には知られています。値段が安いことと、営業時間が早朝からなので、重宝できます。基本的には港湾関係者のためのレストランで、場所が移転してから新しくなりました。味については、残念ながら☆2つ程度です。
東京入国管理局横浜支局は、かつて、横浜マリンタワーのそばにありました。横浜マリンタワーのそばにあった当時の東京入国管理局横浜支局は様々な思い出がございます。入国管理局というと確かに港をイメージするところですが、東京と横浜に関しては、イメージどおりでした。ただ、東京入国管理局と異なり、横浜支局は、かつては他の行政庁と合同庁舎で、外観は普通の役所と変わりませんでした。東京入国管理局横浜支局は神奈川県を管轄しています。以前、「みなとみらい線」ができる前は、JRの石川町駅から行く場合が多かったのですが、「みなとみらい線」ができてからは、「元町・中華街」駅で降りると、歩いて1分程度で着く便利な場所にありました。しかし、その後、2009年に庁舎が移転してしまい、神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7という非常に不便な場所になりました。
東京入国管理局横浜支局は文字通り、東京入国管理局の「支局」なのですが、にもかかわらず、配布する書類や書式には、東京入国管理局とは違うものがありました。法定の書式はもちろん、共通ですが、法定外の各地方入国管理局が独自の裁量で求めている書式ないし書類があるのです。典型的な例は日本人配偶者等です。各地方入国管理局の「質問書」の差異は興味深いところでした。たとえば、東京入国管理局の質問書と、東京入国管理局横浜支局の質問書と比べた場合、明らかに横浜支局のほうが、詳細でした。東京入国管理局の質問書にはなく、横浜支局にはある項目としては、たとえば、「日本の習慣・言葉・地理などについて不案内な外国人の配偶者に、どのようにして日本の習慣などを教えて円満な生活を築いていくつもりですか。」、という質問がありました。こうした質問は基本的には偽装結婚防止等の目的であり、東京入国管理局横浜支局の工夫であると考えられます。
また、名古屋入国管理局のものも、やはり東京入国管理局よりは詳細でした。名古屋入国管理局の質問書は、東京地区と比べると、夫妻分の「履歴書」が詳しいのが特徴と言えました。配偶者案件で申請人の履歴書を求める場合、留学や技能実習、就労での履歴があるケースでは、入管側のいわゆる「トツゴウ」作業でかなりの案件を不許可にすることが可能になります。
ところが、このような地方局毎の特色も、その後、統一的な質問書が用意されたために、現在では基本的に無くなってしまっています。
また、退去強制手続きで在留希望する場合の書類も差異があります。これに限らず、日本の入国管理局も、地方局により色々な差異があり、法務省入国管理局は地方局の裁量にかなり委ねているのが特徴と言えそうです。
摘発専門部隊の詰め所。場所は、非公開なのですが、あさひ東京総合法務事務所は、新宿出張所でお仕事をさせて頂くこともあります。なお、所在や電話番号等は入国管理局の摘発の妨げになるという理由で非公開となっております。
あさひ東京総合法務事務所は、名古屋入国管理局、大阪入国管理局以外に、広島入国管理局、福岡入国管理局、福岡入国管理局那覇支局、仙台入国管理局等のお客様からもご依頼頂いておりますが、ページの文量の都合上、以下、名古屋入国管理局と大阪入国管理局のお話を申し上げます。
名古屋入国管理局へは、東京方面からは、品川駅や新横浜駅から新幹線「のぞみ」で行きます。1時間半程度です。繁忙期でなければ、当日でも自由席等は取れることが多いです。むしろ自由席にしたほうが、隣が空席のスペースを確保できることもあります。
以前、名古屋入国管理局は、名古屋駅から地下鉄で行く場合、「市役所」で降りる場所にありました。合同庁舎で、外観上の規模は横浜入管(旧庁舎)とほぼ同等でした。刑務所等の刑事施設に似た構造の東京入国管理局だけが圧倒的な迫力があるようです。以前、取次(申請代行のこと)で名古屋入管へ出張した際、その機会に警備や審判のほうにも足を運んでみました。
これはかなり昔の話です。あさひ東京総合法務事務所代表の古川峰光が東京から来たことをお伝えし、東京入国管理局や東京入国管理局横浜支局の書式等をご覧頂いたうえ、地方局によってどのように書式等が異なるのかを拝見させて頂きたい、と伝えると、しばらく待って欲しいとの回答。待合室で待ちました。
待合室には20人くらい外国人(「外国籍の方」)がおられました。そこはいわゆる退去強制手続きを待つ部屋なので、普通の入管の待合室とは異なり、殺伐とした雰囲気です。東京入国管理局でも1階の帰国希望の出頭窓口の部屋だけは殺伐とした感があります。
お待ちしていたところ、なぜか統括審査官(部長級審査官)に呼ばれ、「説明」を受けました。東京入国管理局や東京入国管理局横浜支局の書式等と比較したところ、やはり違いがありました。各地方局で各々創意工夫を凝らしているようです。この当時の案件の処理速度を尋ねると、東京地区よりも随分早い印象を受けました。これはかなり前の話になりますが、併せて昔の「特別受理」案件について確認したところ、名古屋入国管理局でも退去強制手続きに載せているとのことでした。
ちなみに、その後、名古屋入国管理局は、移転し、現在は、愛知県名古屋市港区正保町5-18にあります。ここは名古屋駅からは、「あおなみ線」という電車に乗って行きます。名古屋競馬場駅から徒歩1分ほどです。
以前は、本局と出頭申告等の部門が分離していましたが、現在では同じ庁舎内にあります。
入国管理局での取り扱いというのは、時期によっても異なりますし、場所によっても異なりますし、人によっても異なるうえ、それらが申請人毎に変動するため、可変ファクターが非常に多いのです。
一例ですが、たとえば、以前に実際にあった東京入管との差異として、修士や博士で卒業見込みだが、学士以上は既卒の場合の、就労への許可日や、既卒とするか見込みとするかの扱いに関して、東京と大阪で明らかな差異がありました。すなわち、大阪入管は、東京入管とは扱いを異にし、申請時には、「既卒」で扱うように、申請取次者側から告知して、窓口で応諾され、かつ、「既卒」用のハガキに書いて提出したにも関わらず、大阪入管側で、その後ハガキを変更し、「卒業見込み者」の扱いに分類されたことがありました。ところが、同時期に東京入管では、基礎事情を共通にする案件(むしろ事案はより厳しい)につき、既卒で扱い、2月中に許可し、卒業日まで待たせるようなことはしなかったのです。大阪入管では、4月1日より就労ゆえに、それ以前に早めに就労の許可をするのは相当ではないとの見解でしたが、この度立法化された取り消し制度のメルクマールが3か月であることの趣旨を類推すると、就労まで3か月を切っていれば、許可してよいのではないかとの疑義もあるところでした。
東京入国管理局も横浜支局も、「渡された書類をそのまま書いて出したら、別の手続きをしてしまったことに後から気付いた。」というケースの相談がしばしばあります。
[事例1]
ある外国人の方が博士号取得後、「技術」で在留し、更新してきたところ、「転職」したとのことで手続きをされました。そのことを入管の職員に説明したところ、もらった書式は「就労資格証明書交付申請書」でした。ところが、実は在留期限が近づいており、「就労資格証明書」の問題ではなかったのです。在留期限経過後、不許可になりました。理由は申請の種類を間違えているため、「不法残留」になってしまったからです。その外国人曰く、申請書式を入手する際、「本当にこの書類でいいんですか?」と念押ししたが、それでいいとの回答をされたそうです。そのとき、書類をもらう列が長蛇をなしており、後ろの他の人が数多く待っていたので、やむなくそのまま引き下がり、申請したといいます。
[事例2]
特定活動で在留していた在留期限の間近な外国人が日本人と婚姻し、それにより「日本人配偶者等」で在留しようとされました。そのことを入管の職員に説明したところ、頂いた書式は「在留資格認定証明書交付申請書」であり、それを申請。特活の内容との関連で、入管としては、一度帰国されたし、という趣旨だったのかもしれません。しかし、当の夫妻は「申請中は期限切れでも不法残留にはならない。」との入管法の法理がこの場面にも適用されるものと固く信じていらしたそうです。結果、期限後に「不法残留」を理由に「在留資格認定証明書交付申請」は不許可(不交付)。その結果、不法滞在者扱いにされてしまったそうです。
不法滞在は入管法上、犯罪と扱う条文があり、入国管理局では「容疑者」と称し、全指紋の採取等、退去強制(強制送還)手続きを行うことになっています。
[コメント]
これらは全部実話でして、しかも本当にごく一例に過ぎません。職員にそれを勧められたら、それは一般の方であれば、それに従うしかないような感じは正直、致します。ただ、あさひ東京総合法務事務所は代表自身が国際結婚をしており、既に長年国際結婚生活を送っております。法律家としての経験があるのは勿論ですから、日本の入国管理局が気軽に聞いて正しい答えが即答されるような場所ではないことは分かっておりますが(聞く側にも相応の知識と経験が必要です。)、自身の国際結婚生活の中で、結婚相手の国の入国管理局のことも信用しないようになっております。どこの国でも同じだと思うのですが、「入国管理局」というのは「外国人」を扱う機関です。ですから、その国の国民ではない人を扱う機関です。となると、その国の国民にとっては関係のない機関ですから、必然的にその国の国民のチェックも弱いですし、対応も適当、杜撰で構わないということになるのです。国際結婚なさる方々は、両国の入国管理局は共に頼りにはならないのが原則だということを忘れないようにしておかないと、重大な決断をするときに判断を間違ってしまいます。この意見は、国際結婚している夫婦としての本音であり、長年国際結婚生活をされているのであれば、同じ意見の方は多いと思います。
こういった背景で外国人の間では、入国管理局不信というか、信用ならない組織であって、「賄賂」が効くのではないかといった見方まであるようですが、開発途上国の政府機関ではありませんので、基本的には「外国人裁判所」と思って頂ければ実態に一番近いイメージになります。
フィリピン,タイ,中国,ロシア,ウクライナ,ルーマニア,モルドバ,ベラルーシ,リトアニア,パキスタン,バングラデシュ,イラン,シリア,スリランカ,ネパール,ミャンマー,韓国,台湾,インド,インドネシア,マレーシア,ベトナム,モンゴル,ブラジル,アメリカ,カナダ,イギリス,フランス,ドイツ,イタリア,スペイン,ポーランド,オーストラリア,チリ,ペルー,ボリビア,メキシコ,コロンビア,ナイジェリア,ウズベキスタン等(順不同)
│行政書士あさひ東京総合法務事務所/国際法務専門の行政書士
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